Nikomi Miharu/にこみ 瞠る
Okayama
principal use | restaurant |
strucure | timber 2 stories |
total floor area | 42.64㎡ renovation area |
岡山市の駅前にある煮込み料理を専門にした居酒屋の計画である。
店は岡山駅から数分という立地で、周囲は高いビルに囲まれつつも緑道公園という小川沿いの並木に囲まれた散歩道が近くに通る場所にある。
建物は2階建の連続する長屋の1軒で、築54年という歴史のある木造の建築物である。長屋ということもあり間口が2.6mしかなく、プランをどのように展開していくかを考えるため、既存の天井と壁のボードを部分的に解体し、既存寸法と下地の状況を確認した。
壁のボード下からは、既存の土壁に所々剥がれた漆喰が張り付ている状態であったが、逆にこの状況を活かして半世紀以上も前の左官職人の仕事を、建物の記憶として残したいと考えた。
お客さんから見えるカウンター越しの空間は舞台とも言えるような場ともなる。カウンターは天端を揃え、一体的な構造として土壁側までぐるりと回り込ませることで統一感を図り、背面の土壁との差により記憶を感じさせるようにした。
お客さんは美味いお酒を飲みながら店主や友人らと語り、一息つきながら目の前に映るざらついた土壁を見ることで、非現実的な雰囲気に酔う。